医療ドラマをきっかけにして看護師を目指すことにした、あるいは医療ドラマで看護師の仕事をイメージトレーニングしている、こんな方もいるはずだ。
しかしドラマに登場する看護師をそのまま参考にするのは、あまりおすすめできない。
というのも、実際に医療現場で働いている看護師からすれば、多かれ少なかれ現実離れしている作品が珍しくないからだ。
まず看護師を演じている役者の身だしなみを見てみよう。
例えば髪型ではポニーテールどころか、髪を下ろしたロングヘアであったり、派手なメイクやアクセサリーをしている作品さえある。
衛生管理と感染予防を徹底しなければならない医療現場では、これはあり得ない。
看護師にとって身だしなみを清潔に保つことは、絶対に守るべき職務条件であるからだ。
さらに医療行為のシーンでも同様のことが言える。
例えば患者を処置するのに清潔ガウンを着用していなかったり、点滴を挿管する際にも滅菌手袋せずに素手で行っていれば、単純な医療事故にもつながりかねないだろう。
この他にも点滴しているのに溶液が滴下されていない、シリンジポンプの設置位置が高すぎる、脳や心臓の重大オペ後にも関わらず、患者には点滴1本とカヌラだけで済ませる等、明らかに知識不足のドラマ作品があるのも事実だ。
看護師の職場環境について浅い知識のまま、作品化してしまった医療ドラマも散見される。
例えば規模が比較的大きい総合病院にも関わらず、病棟の看護師がオペから受付まで担当しているような作品がそれにあたる。
よほど小さい診療所でなければ、通常は看護師の役割分担が徹底されているものだ。
医療ドラマはこのような現実離れした内容がある一方で、看護師が共感できるあるあるな内容も含まれているため、医療従事者でも楽しめるのかもしれない。